三月の向こう側

新しい季節を告げた
君はまるで花のようだ

春のすきまから
やさしい陽の果てる
僕を裏切るみたいに
空は澄んでいる

いつか放課後の教室で
スカートの裾を揺らしたあの子

昼どきの各駅停車
水色の窓に横顔を映す少女

ライブハウスの床に座り込んだ
アルコール依存症の美人

みんな君の顔をしていた
淋しがりやの目つきが同じだ

僕を打ちのめした悪夢や
あらゆる敗北
雨さえも
すべて君への恋だった

愛しいものが僕を抱きとめ
その日世界は色を変えた
記憶はまだあざやかだ