凍傷

つま先に愛、冷えた指、38度2分の恋 / 君の心に触れて、愛おしく思うのを知らず、白みゆく空を今はただ悲しみたい / 僕らはこの脚色された夜にきっと少しだけ体の力を抜いて、やたらと互いを欲しがりながら、嬉しいって泣くんだろう / 守るべきものは多分、白すぎる君の肌 / マナーを知らない子供みたいに、本当はいつだって愛したい /

僕の中心が色づいて、傷を広げた、唇は濡れた / まぶたの裏側、何かの終わりが見えたから、僕はまだ泣けることに安心する、ねぇ君はうんざりした? / 名前のない星のように、とても遠いところから届く心の弱さの光 / 叶わない夢が怖いから、明日を笑うために、君嘆きを燃や、僕命を焦が /

僕らあまりにも欲深で、恐れることを知らなかった / 尽きせぬ夢に遊んで、僕らとても煌めいていた / 実はすべて幻想で、本当のことなんてなくて、重くて、淡くて、だから幸せ / 星みたいな、屑みたいな、命の尊さに酔っていたんだ / 今度は騙されないように、素知らぬ顔で、掛け替えのないふりで、僕らの熱を冷まさないでほしい /

欲しくもないのに飲んだお酒みたいに、奥まで沁みておやすみの足音、非力さに泣いたのはだぁれ / 君の声に酔ったから、朝までだらしなく床の上、指先で追いかける肌の熱、どこが痛い、どこに居たい / 形を壊して揺らぐ視界、全て日常だと気が付いた、君が消えてゆく気がした、だから本当は少し嬉しくて /

見えなくなった本当を、まだ抱きしめていたい気がする / ゆっくりと果てていく何かに、僕は勝てなくてせつない / 今日と同じ空を君と二人で過ごしたはずだ、いつか、踏み荒らされた空気を吸いながら、ただ高鳴ってゆくだけ、君を溶かしてしまいたい / かけがえのないゼロになるまで、なかったことにしておくよ /

あまりにも冷えてしまうから、君とは手を繋ぎたくない / 生き延びるため、生きることをやめた、本当は君を嫌いだった / 夜空で色めくとても昔のいつか、きらり痛む心臓を理由に、僕は愛を確かめてみる / 未来のための冬のエスキス / 音を立てずに散っていく、ものういけれど、目覚めは近いねって、夢のどこかで /

何もかもすっかり凍りついてしまう前に、僕は僕を閉じ込めようと思ったのだ


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