サフィロに捧ぐ

 肥大してゆく僕らの愛と情。それに欲。愛しき日々、ただそれだけで完全。

 僕はきっとあの頃、最上級の幸福の中にいた。貴石のきらめきに似て、何よりも強い硬度で、もしかするとそれは今でも僕の魂の深くに根付いている。あのときからずっと、僕が欲しかったのは過去形じゃなくて、希望あふれる未来進行形だった。生きる上で大切なことを僕は全てあの場所で学んだ。それはきっと、僕らが共に過ごしたあの日々こそ、僕が最も上手に「生きて」いなくてはならないときだったからなのだ。必要に迫られたから、僕は吸収することに必死になった、そうだ、文字通り、必死になったんだ。

 僕は動物が己の食んだ糧を反芻するように、自分が生きた時間を鮮明に思い出すことにする。僕がどれほど壮絶な幸福の中で自分という人間を培ったか。僕を僕たらしめた快感は何なのか。

 嗚呼、或いは僕が如何にして青く鮮烈な夢を見たか。

[For Zafiro / Dedicated to our very "Azure" days.]